音楽を楽しめる人に!

楽譜に書かれている音をただ機械的にピアノに移すのではなく、まずは音楽を楽しめる人になってほしいと思います。
そのための方法のひとつとして、ソルフェージュを取り入れたレッスンを行っています。

最近のピアノレッスンでは、多くのお教室でソルフェージュを取り入れたレッスンが行われています。一般的には、この時間では、リズムの練習(リズム感の向上)や、歌をうたう(音感・表現力の向上)ことが多く行われ、一見、ピアノと関係のないような内容ではないかと思われがちです。
ですが、これらは内的聴覚を鍛える、大変有効な練習となっています。
当方ではリズムの練習の時間では、ピアノ以外にもボンゴやウッドブロック、太鼓など様々な打楽器を用いており、こどもたちの大好きな時間のひとつとなっています。

これらは将来的に、ピアノ以外の楽器や歌を学ぶことになっても応用が利き、音楽をより長く、深く楽しめるポイントにもなります。

音楽を楽しみながら、基礎力をつける!

楽譜に書かれている音をなぞるだけではなく、それを母国語(読む・書く・聞く・話す)のように使いこなすことができるような、音楽の基礎力アップをめざします。

【読む】
確実な読譜力をつけるための方法は、さまざまあります。
当教室では同時に同レベルの複数の曲の練習を行う方法や、フラッシュカードを用いたトレーニングに加え、各生徒の進度・習熟度にあわせて作成した、独自のテキストの活用なども、それぞれの生徒の特性に合わせ、必要に応じて行っております。
いずれの方法にしろ、読譜力を向上させるためには、いかに長い時間、集中して楽譜や音符に向き合えるかということが問題になり、そういった環境づくりをいかに構築するかがポイントとなります。

【聞く(聴く)・書く】
多くの人は音楽を楽譜から知る、というよりも耳で聞いて知る、という機会のほうが圧倒的に多く、そこに楽しみを見出すことが多いでしょう。ピアノを習い始めたばかりの方や習いたいと思われた方はほとんどがそうであると思います。
そこで、楽譜を読んで弾くだけではなく、実際に自分で知っている曲の楽譜を作る、という方法も取り入れています。
最初の内は、ドレミをカタカナで書いてみるだけのところから、五線上に書いていく、というように、生徒のレベルに合わせて「楽譜を作る」ことをしてもらいます。
自分がすでに知っていることを外の世界(音符)に当てはめていくという作業はとても新鮮で興味深いもののため、真剣に取り組む方がほとんどです。
前項とも重複しますが、楽譜を読むだけだと、インプットばかりで偏りがちですが、書くというアウトプットを行うことで、バランス良く読譜力を身につけられることが期待できます。

【話す(弾く)】
わたしがレッスンの時によく生徒に伝える言葉のひとつとして、
「楽譜は作曲者からあなたへの手紙だから、きちんと読んであげよう。こちらの都合で勝手に音を変えたり、音を減らしたりして弾きやすくするようなことはなく。でもそうでないときは好きに弾いていいんだよ」

特にクラシックの分野では楽譜はとても重要です。音程とリズムが指定されているからこそ、各奏者の個性があらわれるところにクラシック音楽の醍醐味があり、また、そうであるがゆえ、難しいテクニックも自分なりに簡単にすることがないため身に付きやすくなります。

ただ、こればかりをしていると、今度はミスをとてもおそれることになりかねません。

そこで、楽譜から離れて弾くという時間も設けています。
たとえば、ある曲をほんの少し難しくするにはどうすればよいのか?この曲に前奏を付けるとしたらどんな音楽が良いのか?など様々な広がりを一緒に探し、主体的に取り組むことを心がけたレッスンを行っています。
こうしたレッスンはとても集中した良い時間であることが多く、同時にとても表情豊かな音楽が生まれることが多いと感じます。

人は自由に考えた上で決定したことに取り組むことが、やはり大好きなのだと思います。

自由な感情表現と想像力を育む!

一方的な指導は、テクニックを最短で身につけさせることはできるかもしれませんが、同時に生徒の「自由な表現」をそこねてしまう可能性もあります。
例えば、ある時は、ある曲のフレーズを聞いて、そこから自由に物語や気持ちを想像するといったレッスンを行います。
また、ある時は、作曲者になりきって、なぜここにこの強弱記号をつけたのかを作曲者になりきって考え、語ってもらいます。
そうした手法をとることで、「先生に言われたから」ではなく、より深く音楽について自ら考えることになります。
そして、そんな時の子供たちは、みんな目を輝かせ、生き生きとした表情を浮かべて自分の想像を楽しみます。
テクニックが十分でなくとも、これら想像力と感情の二つが結びついたときには、人に訴えることのできる、生き生きとした表現が生まれます。 

こうしたレッスンを通し、自分の力で考え、楽しめる人間になってもらいたいと願っています。

 

アンサンブルを楽しむ

ピアノはマンツーマンのレッスンのため、グループでのアンサンブルは難しいですが、そのかわりに私との連弾でアンサンブルを楽しむ時間を設けています。
市販の連弾譜での連弾はもちろん、私がその場で弾く即興や打楽器を用いたアンサンブル、また時にはiPadを用いたアンサンブルなど多岐にわたって行います。
そこで、思いもよらない生徒の反応や生徒自身がそれまで気が付かなかったポテンシャルに出会い、生徒と一緒に驚くことも多々あります。

何歳からはじめられる?

本人にその気があって、レッスンの間、ピアノの前に座っていられれば、大丈夫です。幼稚園、小学校低学年から始められる方が多いですが、会社を定年されてから始めたという方もいらっしゃいます。

ただ、あまり小さいと(3歳以下)指や手への負荷がかかりすぎてしまう場合があります。

また、現在、当教室では個人レッスンのみを行っており、グループレッスンは行っていませんが、年中児、年少児はグループレッスンでの方が、楽しくレッスンを進められることが多いようです。

 

どれくらいでピアノは弾けるようになるの?

「どれくらい練習すれば、弾けるようになりますか?」

時々、聞かれる質問ですが、お答えするのがとても難しい質問です。というのは、個人差がとても大きいためです。苦手なテクニックは人それぞれになりますので、それを克服する正しい練習を倦むことなく継続してきちんと練習できれば、着実に実力はつきます。ただ、そのために必要な時間もひとそれぞれです。比較的器用な人は短時間でできるようになるでしょうし、そうでない人は時間がかかってしまうのは事実です。

「ああ、自分は器用ではないから、無理だ」とは思わないでください。

時間がかからなかった人は、できたときの喜びが、かかった人よりも少なく、逆にかかった人はとても大きいようです。ですから、その分、「頑張ればできる」という成功体験をより強く感じられるので、継続して取り組める人が多いように思います。

ピアノに限らず、楽器やスポーツ一般は継続した練習でようやく身につけられる技術になります。器用ですぐにできるタイプの人は、器用であるがゆえに継続した練習が苦手なのかもしれない、と生徒や周りの人をみていると思います。実際、私も器用なほうではありませんでしたし、周りにいる指導者も器用だったという人はあまり聞きません。

また、どのくらい弾けることをピアノが弾けると考えるかも人それぞれになります。

ということで、とても難しい質問です。

ピアノは買わないとダメ?

最近は高機能の電子ピアノも比較的安価で買い求めることができますが、迷っているようであれば、最新の電子ピアノよりも、中古でもアコースティック・ピアノ(いわゆるアップライトピアノなど、音を出すために電気を使わないもの)を、断然オススメします。実際、お母様やお祖母様が使用されていたアップライトピアノをメンテナンスをし、世代を超えて使われるという生徒さんもたくさんいらっしゃいます。

「楽譜を弾く・音だけをなぞる」、ということでは、どちらも遜色ありませんが、ピアノを表情豊かに美しく弾く、と言う面ではやはり普通のピアノの方が上達は早いようです。

住宅事情など、ご家庭の事情が許せば、ぜひアコースティック・ピアノを準備していただきたい!と考えるのは、私だけでなく、多くのピアノの先生が願っていることです。

また、昨今では「電子ピアノ」ではなく、キーボードでの用意を検討されている方もいらっしゃいます。技術の発達で軽量だったり、折りたためるなど、収納に適した楽器も販売されるようになりました。こちら、すでに技術を獲得している方が弾く、またはサブ楽器として使うということであればとても良い楽器かと思うのですが、この楽器をメインにピアノのテクニックを習得しようとするのはおすすめできません。

鍵盤の数、幅や重さが足りないものが多く、あまりトレーニングするための楽器としては向いていません。

そのために、レッスンで使用するグランドピアノとの差を生徒本人が感じ、いくら練習してもレッスン室ではうまくいかない、と感じやすいことが多いように思います(これは大なり小なり、ほかの楽器でも感じてしまうことですが、キーボードなどの楽器ではより強く感じます)。

テクニックの習得には継続する力が必要になります。せっかくのやる気が使用楽器によってなくなる可能性があるのはとても残念です。

こちらにも関連記事をのせておりますので、よろしかったらご覧ください)

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